エンリッチド・エア

医学的に見たメリット

医学的に見たエンリッチド・エアのメリット

エンリッチド・エアが体に及ぼす影響

エンリッチド・エアは窒素の割合が少ないため、ダイビング中に体内に溜まる窒素量を減らすことができます。 そのため、減圧症にかかりにくくなります。一方、酸素濃度が高いことから、酸素中毒(*1)は浅い深度から生じやすくなります。窒素酔いについては窒素濃度が低い分、分圧換算上は罹りにくくなりますが、酸素がいくらか酔いに影響します。 酸素も麻酔作用があるためです。麻酔作用(酔い)に関しては、通常の空気の場合とエンリッチド・エアの場合では差はほとんどありません。

レクリエーショナルダイビングで使われるエンリッチド・エアには主に酸素濃度32%と36%があります。 計算上の窒素酔いは、空気、エンリッチド・エア32、エンリッチド・エア36で、それぞれ水深31m、37m、40mとなります(表1)。 ただし、実際のダイビングではエンリッチド・エアを使用したとしても酸素酔いの影響等を考慮しなければいけないため、いずれのエアを使用した場合も安全限界水深は30mとします。 一方、酸素中毒が発生する安全限界水深は、それぞれ水深57m、34m、29mになります(表1)。エンリッチド・エア32は、35mの深度まで行けませんし、エンリッチド・エア36では、30mの深度まで行けないということになります。

*1 酸素中毒には脳と肺の症状があります。 脳の症状は急性酸素中毒として現れ、肺の症状は慢性酸素中毒として現れます。 水中で気をつけなければいけないのは脳の酸素中毒です。 症状には、痙攣、視野が狭くなる、めまいがする、耳の聞こえがおかしくなる、意識を失うなどがあります。 酸素中毒は、陸上で発生してもほとんど死亡することはありませんが、水中の場合、痙攣し、水中でレギュレーターが口から外れて溺れる危険性もあるので注意が必要です。 エンリッチド・エア・ダイビングでは酸素中毒を絶対に起こさない潜水計画を立てることがとても重要です。

■表1/窒素酔い、または酸素中毒が発症する可能性のある分圧換算上の深度(安全限界水深)

  窒素酔い 酸素中毒
空気(酸素21%、窒素79%) 31m 57m
エンリッチド・エア32 37m 34m
エンリッチド・エア36 40m 29m

このページは、【※出典PADI】をベースに加筆修正してあります。