ダイビング器材は時代とともに安全で便利になってきました。ダイビングスーツも状況に応じてウェットやドライを使い分けるようになりました。水中で使用するガスも安全に進歩することが望ましいと考えられています。
これまで日本では、エンリッチド・エア・タンクの普及が進まなかったことから、一部のダイバーしかその恩恵に与ることができませんでした。 しかし最近、エンリッチド・エアを効率的に製造できる「メンブレンシステム」が導入され、タンクの供給が進みつつあります。 エンリッチド・エアの安全性とメリットが高いことは既に医学的には合意が得られています。近い将来、エンリッチド・エアがレクリエーショナルダイビングのスタンダード・ガスになることを期待しています。
エンリッチド・エアには、医学的メリットとダイビングプラン上のメリットがあります。 医学的なメリットは、「空気と同じ深度に同じ時間潜るのであれば、残留窒素が少なくなるため減圧症に罹りにくくなる」ということです。 プランニング上のメリットは、「空気と同じ減圧症リスクを許容するのであれば、減圧停止不要潜水時間が伸びる」ということになります(表1)。
空気用の減圧表を使用したダイビングはそもそも減圧症発症率が低いため、エンリッチド・エアを使えば直ちに発症率が下がるというわけではありません。 しかし、水深30m程度の比較的深いダイビングでは、空気を使って潜ったダイバーよりエンリッチド・エアを使用したダイバーのほうが減圧症になる率が少ない傾向があることが分かっています。
■表1/米国海軍標準空気減圧表に基づいたエンリッチド・エア32(EAN32)の空気相当換算水深および減圧停止を必要としない潜水時間
| 標準空気減圧表 | → |
EAN32における空気相当換算表 | ||
| 深度(m) | 減圧停止不要潜水時間(分) | 空気相当換算深度 (m) |
減圧停止不要潜水時間(分) | |
| 3.0 | 制限なし | 1.2 | 制限なし | |
| 4.6 | 制限なし | 2.6 | 制限なし | |
| 6.1 | 制限なし | 3.9 | 制限なし | |
| 7.6 | 595 | 5.1 | 制限なし | |
| 9.1 | 405 | 6.4 | 595 | |
| 10.7 | 310 | 7.8 | 405 | |
| 12.2 | 200 | 9.1 | 405 | |
| 15.2 | 100 | 11.7 | 200 | |
| 18.2 | 60 | 14.3 | 100 | |
| 21.3 | 50 | 16.9 | 60 | |
| 24.4 | 40 | 19.6 | 50 | |
| 27.4 | 30 | 22.2 | 40 | |
| 30.5 | 25 | 24.9 | 30 | |
| 33.5 | 20 | 27.4 | 30 | |
| 36.6 | 15 | 30.1 | 25 | |
| 39.6 | 10 | 32.7 | 20 | |
| 42.7 | 10 | 35.4 | 15 | |
| 45.7 | 5 | 37.9 | 10 | |
| 48.8 | 5 | 40.6 | 10 | |
| 51.8 | 5 | 43.2 | 5 | |
| 54.8 | 5 | 45.8 | 5 | |
| 59.9 | 5 | 50.2 | 5 | |
このページは、【※出典PADI】をベースに加筆修正してあります。